*

スーパーカー列伝① ランボルギーニカウンタック

   

スーパーカー列伝と称しまして。
これまで天野が触れたり、見聞きした
スーパーカー(いわゆるスーパーカーブーム
のころの車とは限らず)について
書かせていただこうと思います。

70年代の半ば、最高速度302キロか、300キロか。
実物を目にしたことがない、子供はマスコミが流す
虚偽の情報に踊らされた。
(私もその一人)
世界最高速はフェラーリ365BB、
その次がカウンタックLP400。

1971年のジュネーブショーに
LP500が登場して3年後、
生産型のLP400は登場する。
当初ショーモデルでは、プレス鋼板
を溶接したシャーシに5リッターエンジン、
アルミボディーという構造で登場したが、
LP400ではエンジンは、これまで実績のある
4リッターに改め、鋼管スペースフレームを
これでもかというぐらい複雑に組んだ、
バードケージタイプのフレームにエンジン、
ボディーなどを架装。

パワートレーンはミウラで試された、V12横置きから、
縦置きに変更。
しかもトランスミッションとエンジンの順番を逆にして、
トランスミッションを室内側に向け、そこから
ドライブシャフトで折り返してエンジンの後ろから
出力を取り出すという画期的な設計で、
縦置きV12を少しでも短縮し、
車両を小さくまとめようと努力がなされていました。

カウンタック。私、現物は何度も見たことあるのですが、
残念ながら運転したことはありません。
助手席にもぐりこませていただいたことはあります。
オーナーの友人から「運転していいよ」
と言われたこともあったのですけど、
さすがにね(笑)

それは最終型の真っ赤なアニバーサリー。
ディテールはLP400のシンプルなデザイン
とはだいぶディテールが変わっていましたが、
紛れもないカウンタック

カウンタックに乗り込むのは普通の車のようには参りません。
カウンタックは全長4メーター足らず、車高は1メーターちょっと。
低く平べったい形状にだまされますが、カウンタックは実に小さい車で
ものすごく狭いコックピットです。

ですがガルウイング式のドアのおかげで、道幅が狭いところでも気にせず、
ドアを全開することができます。
そして乗り込む際は普通の車のようにおしりからシートに
腰掛けてはいけません。

まずはドアが開いたところの、サイドシルに腰掛けます。
その後、フットスペースに足を突っ込む。
最後にサイドシルから、シートにおしりを移動させるのです。
尻から座ったら最後、
足を入れようとしても身動きが取れません。

カウンタック、乗って走ることはこれまでありませんが
エンジン音を生で聞いたことは何度もあります。

まずは、独特のセルモーター音。
クゥーという連続音です。(フェラーリも同じ音です)
この世で経験したことがないセルモーターの音ともに、
かなり長い時間セルが回り続けます。
(この時点でバッテリー大丈夫かと心配になります)
その後、不機嫌そうに火が入りますと、
どるるるーと野太い音で、アイドリングを始めます。

カウンタックのエンジンは。V12の一般的なイメージである
スムーズでシャープなエンジンというのとは
訳が違います。

かなり、エンジンの回り方としてはモッサリした感じの
トルク型のエンジンで、ドルルーと回転が上昇していくタイプで
ヒュイーンと回るエンジンではありません
しかし、この野太いエンジン音に取り付かれてしまう方も多いらしく

多くのランボファンは、フェラーリに行ってもやっぱり戻ってくる
らしいです。

またカウンタックの美点は、フレームを頑強に組んだボディー
コンストラクションのおかげで、経年変化が全くないのではないか
と思われるほどボディー剛性が高いのです。

すでに齢40年を超える、LP400でさえ、
いまだに現代の車に匹敵する剛性があるといわれます。
コンパクトな車両と相まって、山道を得意とする
ハンドリングに優れたスーパーカーでした。
一方で、その剛性の高さとのトレードオフで、じつは死ぬほど重い。
初期型のLP400ですら計測すると1600キロを越えるそうです。
(カタログデーター1100キロ程度(笑)

このためカウンタックは、その見た目ほど速くない(笑)
また、いかにも空力がよさそうなクサビ型のボディーも
お世辞にも高速向きではなく、ラジエター冷却用のエアスクープ
から入った空気がリフトを招きますし、
それを抑えるためのリヤの巨大なスポイラーは、
200キロ以上の領域ではフロントを持ち上げてしまう恐れがあり、
200キロ以上出すなら羽根つけるなと言われていたとのことです。

それから、強大なパワーを受け止めるには
ブレーキがプアだと言われていました。
なにせ、最終型のアニバーサリーですら
ホイールは15インチでしたから
ブレーキもそれに見合うものしか
付いていなかったんですね。

いずれにしてもカウンタック
1974年の発売開始から、エンジンを拡大し
デザインをリファインし1990年まで長きにわたり、
生産されました。

その美しく革新的なデザイン、比類なきシャーシ剛性
がそれを許容したともいえますし、
70年代初頭に襲ったランボの経営危機から
経営主体が次々変わって、大きな投資も改良もせず、
ここまで生きながらえさせたともいえましょう。

カウンタック。いまや車によっては億単位の価格が付く
とても手の届かないものになってしまいましたが
いつまでも、素敵なオーナーの下で、大切にされ
長く後世に残してもらいたいものです。

p1

Gran Turismo 5

Gran Turismo 5

 -スーパーカー列伝

  関連記事

スーパーカー列伝86 ポルシェ944

こんにちは   2000年の初頭ごろに読んだ本に ポルシェ開発陣から聞いた話として 「セル

スーパーカー列伝92 フェラーリ360モデナ

こんにちは 新世代のアルミフレームフェラーリ360モデナです。   フェラーリはV8モデル

スーパーカー列伝62 スバルアルシオーネ

こんにちは トヨタは プリティ ホンダは スマイル 日産は  ミスフェアレディ そんじゃスバルは  

スーパーカー列伝53 ユーノスコスモ20B

こんにちは 日経平均は2万円を超えて 25000円まで行くと いう話もありましたが、 すっかりそうい

スーパーカー列伝90 ランボルギーニカウンタックLP500S

こんにちは   なんとかかんとか90回を迎えることができました。 思えば長い道のりでした。

スーパーカー列伝52 トヨタセリカXX2800GT

こんにちは 80年代の日本の自動車メーカーは あの悪夢のような排気ガス規制 対策に何とか目処をつけ

スーパーカー列伝80 ホンダシティーターボⅡ

こんにちは ついに80回を数えました本シリーズ なんとか100本ぐらいは書けるのではと 思いつつ始め

スーパーカー列伝60 ジオットキャスピタ

こんにちは よくここまで続いたという感じですが 60本目です。 またもやバブルのころのお話 童夢Xワ

スーパーカー列伝93 フェラーリ512BB

こんにちは   リクエストにお応えすることにして (あんまり褒めてないけどご容赦) &nb

スーパーカー列伝④ランボルギーニミウラ

またランボに戻ります。 ミウラです。 ミウラ ランボルギーニは、 フェラーリを超える ロードゴーイン

  Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


カーライフ小話23 さようならランチア

ランチア。イタリアの名門ですが、今消滅の危機に瀕しております。 ランチアが産声をあげるのは1906年

【名車列伝9 共産圏のVIPカー】

ロールスロイスまでがSUVだすようになって本当の高級車ってのはなにかと考えていたら、そうだあの2台が

【カーライフ小話22 オフロードのロールスロイスかロールスロイスのオフローダーか】

ご無沙汰しております。 最近発見しましたのですが、ついにあのロールスロイスがオフローダー(SUVか)

カーライフ小話21 最近気になる車

最近気になる車についてちょいと触れたいと思います。   1.ユーノスロードスターおよびマツ

カーライフ小話20 BBSその後、そして46になりました

今年の夏に誕生日を迎えまして、とうとう46になりまして、いよいよ五十路が近くなってまいりました。また