こんにちは
先般のダウンサイジングターボの話をしたあと
昔の雑誌を思い出し読み返してみました、これとあわせてボア・ストロークの話を一席。
ボアってのはシリンダーの直径のことで、ストロークってのは
そのシリンダーの中をピストンが動く距離ですね。
ポルシェはフラット6後輪駆動というレイアウトを選択したため、
どうにもエンジンの排気量を闇雲に拡大できないというジレンマがあります。
え、なんで。
それはシボアピッチ以上にシリンダーを拡大することは
できないからです。(当たり前か)
ポルシェの歴史は、ボア拡大による、排気量アップの歴史でした。
当初2リッターでスタートしたフラット6のエンジンは、あくなき
ボア拡大により、排気量アップを図ってきました。
それは、性能の向上というのと、排気ガス規制に対応した
パワーダウンを補うという意味がありました。
2.4リッターまで拡大してもうこれ以上無理。
と思っていたのですが、なんと、アルミにシリコンとニッケルの化合物を
コーティングすることで、それまで入っていた、シリンダーライナーを取っ払うこと
に成功。90ミリのボアに70.4ミリのストロークで2.7リッターを実現
するのでありました。
さらに排気量拡大はエスカレート
ついにボアは95ミリ、ストロークそのまま、で3リッター。
もうボアはいい加減にしてということで
ストロークも74.4まで伸ばして
3.2リッターまで行きました。
ここまでナロー&930
続いて964
ついにボア100、ストローク76.4まで伸ばして3.6リッター
闇雲にボアを拡大しますと点火時の火炎伝播が悪くなりますので
これに対応して
ツインプラグ化
フラット6もここまできたかという感じ。
そしてついに空冷究極の
ボア102で3.8まで拡大するのです。
さて、ここまで、
ボアの拡大に比して、ストロークの拡大は小さいこと
にお気づきいただけるでしょうか。
これはなぜか。
フラット6エンジンは闇雲にストロークを伸ばすと
エンジンの横幅が広くなってしまう。
からです。
え、コンロッドつめろ?
そうは問屋がおろしません。
コンロッド長が短くなると、エンジンの
スムーズさが失われてしまうのです。
コンロッドが短くなると、どうしてもピストンがシリンダーの内壁を
押す力が強くなってしまいます。(クランクを下に押し下げる際に
角度が大きくなってしまうため)
サイドスラストといいます。
振動の発生や、スムーズな吹けあがりに影響が出ます。
一般的には、コンロッド長さと、ストロークの長さの比は
2倍程度、少なくても1.8倍程度あるのが良いエンジン設計とされています。
ポルシェの場合、旧空冷エンジンでは
コンロッドの長さは127ミリだそうです。
そうしますと
2.7から3リッターの時代では
何とか1.8を確保。
3.2では
1.7台
3.6にいたっては
1.66となっています。
これ以上の拡大は無理と思ったかどうか、
(もちろん時代の要請もありますが)
996では空冷のエンジンはあきらめ、
新たなエンジンを開発します。
3.4リッター水冷。
こちらはボア96ストローク74
しかし後期型では早くもストローク82.8と延長
3.6リッターを得ています。
このときのコンロッドの長さは不明なのですが
ボアの伸張にあわせてコンロッドを長くしている
とは思えませんので、またコンロッド/ストローク値
は悪くなっていると思います。
ここら辺はポルシェも問題視したのかどうか
997の後期では、ボアを97にして若干ストロークを
つめて81.5
3.8、モデルでは102のボアに77.5とストロークつめています。
さてさて、
991では3.8はそのまま、3.6のモデルは3.4にエンジンをダウンサイジング
して、ストロークを77.5につめています。
というわけで。
後輪駆動フラット6というエンジンレイアウト=911のアイデンティティーだと
すれば、スムーズでマナーの良い、大排気量のエンジンが作りにくいと
いうことがお分かりいただけますでしょうか。そういう意味では
ダウンサイジングは正しい道なのかもしれません。
オールニューの3.0のふつうの911ダウンサイジングカレラですが、
未だボアストロークの数値がメーカーサイトの
スペックにも載っていませんけど、(誰も興味ないんか?)
さらにストロークをつめて、
ついでにコンロッドも伸ばして、
コンパクトでもスムーズなエンジンになっている
ことを期待したいものですね。

