スーパーカー列伝85 TVRタスカン
こんにちは
かつて栄華を誇った
イギリスの自動車業界は
あまり元気がありません。
あのミニとロールスはBMのもの
ベントレーはワーゲン
ジャガーとランドローバーはタタ
そしてローバーは名前すらない。
かつてイギリスにはバックヤード(裏庭)ビルダーと
いわれた、いわば、趣味で自分好みの車を作り上げる
ところから始めた、小メーカーが多数ございました。
その代表はロータスでありましたら
このTVRもその代表格でした。
1947年にトレバーウイルキンソンによって
興されたこの会社は、
小メーカーのご多聞に漏れず
次々オーナーを変えていくのですが、
なんといっても1980年代にこの会社を買収し
2000年代には世界有数のスポーツカー専業
メーカーにまで育て上げた
ビーター・ウィラーが中興の祖と
いえるでしょう。
油田の計測機器を作る会社を経営していた
ウィラーは、北海油田などの開発で財を成し、
経営危機に陥っていたTVRを手中に
収めます。
なんといっても彼は、車好きのエンスージアスト
だったのです。
加えて彼は身長が2メーター近くある
大男だったようです。
TVRを手中にして、自分がばっちり
ドラポジが決まる車を作りたかったのかもしれません。
ピーターウィラーが傾けた情熱に
比例するようにTVRの業績は向上し
一時は、ポルシェ、フェラーリに肩を並べるまで
になります。
そして、これまで、エンジンは他社製を
購入していたものを
V8,V12、直6の自社製エンジンまで開発するようになります。
これが1999年に発売された
タスカンにはこの直列6気筒エンジンが搭載されました。
タスカンは1967年に発売され70年代に生産が中止されていましたので
このモデルは2代目ということになります。
エンジンはフロントに搭載され、
リヤを駆動するオーソドックスなスポーツクーペでしたが
ドアはセンターコンソールのスイッチで
電気仕掛けで開閉するようなギミックや
丸目6灯のヘッドライト
オーナーの好みでマジョーラカラーのオプションもあるという
なかなか個性的な車でした。
特筆すべきはその軽量さです。
なんとわずあ1100キロしか重量がありません。
これに350馬力を誇る4リッターの直列6気筒DOHCエンジンを
搭載していましたから、パワーウェイトレシオは3.14kg/馬力を
誇り、当時高性能を誇ったフェラーリ360モデナを
上回ったというのですから普通ではありません。
なぜこのような高性能を誇ったかといいますと、
何にもついていないからです。(笑)
ありとあらゆるアシストやエアバック、ABSなどの安全装置は
この車にはまったくついていません。
まあ、70年代の車を現代の技術で作っていた
感じでしょうか。
それをこのパワーで運転するわけですから、
運転は難しいでしょうね。
当時日本市場にも期待を持っていたTVR。
あのマネーの虎でおなじみ
当時日の出の勢いの南原竜樹氏率いる、オートトレーディングに
ディーラーシップを与え、日本市場の開拓を始めていました。
南原氏は、
「お宅の会社は経営がうまくいっていない、当社で買収したい」
と持ちかけたらしいですが、
「自宅で鳥撃ちができるほど広大な庭を持っている
人に言うべきせりふではなかった」
と後に述べています。
大金持ちでエンスージアストのウィラーの下でいわば
古きよき英国のものづくりを再現していたような
会社でしたが、その栄華も長くは続きませんでした。
日本ではこのタスカンが西部警察の撮影中に事故を起こし、
そしてウィーラーも病を得たのか
2004年にはロシア人の新興実業家に買収されてしまいます。
このロシア人実業家は、
この会社にビジネスライクな文化をもたらしますが、
結局うまくいかず、会社をつぶしてしまいました。
しかし、TVRはいま、あのゴードンマレーと組んで
再建の動きがあるようです。
今後に期待したいですね。
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