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スーパーカー列伝63 ダウアー962LM

   

こんにちは

レーシングカーを公道で走らせる
車好きで、腕に覚えがあれば
誰でも夢想することではありますが、

それを現実のものにした話。

ダウアーという名前なので
よくわからなくなりますが、
この車は要するに、
80年代のレースを牽引してきた
ポルシェ962以外の何者でもありません。

ダウアーレーシングは、ポルシェの
テストを任される等
ポルシェとの親密な関係を生かして
ダウアー・シュポルトワーゲンを設立
962をロードゴーイングバージョンに
モデファイするという
奇想天外なビジネスをはじめます。

そして1993年のフランクフルトモーターショーに
このダウアー962LMを出品するのです。

エンジンはレーシングバージョンとほぼ同じで
3リッターで700馬力を発生します。

ここまではまあ、「お好きならどうぞ」
の世界なのですが、ちょっと問題が起きます。

1994年のルマン
ちょうどあのマツダがレギュレーション改定の
最後の最後で優勝を飾った1991年

その後もルマンは迷走を続けいておりました。

プロトタイプを排除する方向に動いていたものの
実際はそれを排除するとエントラントが減ってしまう。

妥協策として、プロトタイプカーと市販車である
GTカーと両方を走らせるという策をとりました。

旧グループCカーは空力性能を低下させ、
燃料タンクを小型化させるなど、厳しい規制
を受けることになりました。

さて、問題はGT1クラス。

こちらはは表向き市販車ベースなんですけど。

市販車として公道を走る車の必要台数は

1台です。(笑)

となると、必然的に
ダウアー962LMは何の問題もなくGT1クラスに公認。

これを利用しない手はないですよね。

1994年のルマンには、表向き
ワークスではないダウアーレーシングの
962LMが参加。

しかし実際は、ポルシェがワークス体制
に近い状態でサポートします。

予選では、ダウアーの2台は5位と7位
とまずまずの位置。

優勝候補の呼び声高いわれらがトヨタ94-CVは
ダウンフォース減少の影響で
4位にとどまります。

さてレース開始。

序盤はダウアーがリードします。

なんせ、トヨタのタンクは80

ダウアーはGT1なので120リットル

ピットストップの頻度が違います。

しかし、トヨタも必死に食い下がり

レース終了38分前まで1位をキープ

優勝は確実と思われていましたが、

シフトリンケージトラブルでピットイン。

その間にダウアー2台に抜かれてしまいます。

結局ダウアーが1位と3位。
トヨタは2位に終わりました。

さて、ルールに従った結果ですから
致し方ないのですが、
たった1台のロードカーで、
実質去年のCカーが有利に走れる
ということと、
それが優勝してしまったということで

この優勝は物議をかもしました。

しかしながら、ダウアーはこの優勝に
気をよくしたのかどうか、

その後もこのビジネスに精を出し、
最終的には10台あまりのロードカーを
世に送り出したそうです。

しかし、こんなの公道でちゃんと
運転できるのでしょうかね。
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 -スーパーカー列伝

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