スーパーカー列伝86 ポルシェ944
こんにちは
2000年の初頭ごろに読んだ本に
ポルシェ開発陣から聞いた話として
「セルシオの乗り味がわれわれが理想とする乗り味である」
と言ったとか言わないとかという記事を読んだことがあるのですが、
ポルシェってのはフェラーリみたいなエキセントリックな
車作りをしない企業です。
ですので、まんざら嘘でもないような気がします。
ポルシェは実用性とか、乗り心地、使い勝手等
実用に供する車として、スポーツカーを製造
してきたのです。
そして、そういう車をある程度安く作って、
数を売ろうとなると、例によって、
大メーカーであり関係性の深い
フォルクスワーゲンとの合弁というのが
ひとつの方策として浮かび上がってくるのです。
前にも申し上げましたとおり
356、914と行った車はまさにこれ、
そして944のベースとなった924も
この方法で作られようとしていました。
(実際にはエンジンだけアウディー製で
ポルシェ単独の事業となった)
言ってみれば、小メーカーポルシェの
ビジネスモデルはこれが本質であると
言っても過言ではないと思います。
しかし、いつものことですが、
これらの4気筒ポルシェは、いつも
RR+フラット6の911の亡霊に悩まされ、
エンジンが自社製でないことを取り上げて
「本物のポルシェではない」とポルシェファンに
揶揄される存在でもありました。
944はこんな中生まれます。
924は、ポルシェを支えるエントリーモデルと
して、ある程度の台数が見込める、そこそこの成功を
収めていました。
しかし、911の後継のつもりで開発した928は、
その大柄なボディーと豪華で快適なGTカー的性格が
災いしたのか、スパルタンな911の代替には程遠い状況でした。
一方の911といえば、元を正せば1964年
設計のシャーシを改良に改良を重ねてきたのですが、
いかに優れた空冷エンジンを搭載するとはいえ
その騒音や、短いホイールベースとテールヘビー
重量配分で、操縦特性は万人受けする
安全な車とはいいがたかったでしょう。
ポルシェ開発人が「セルシオ」を目指すの
であれば、我慢ならん車だったことは想像に難くありません。
ポルシェは、この911と928の間を埋めるモデルを作ろうとします。
924のトランスアクスルによる重量バランスの良いシャシー
そして、アウディー製ではない本物のポルシェ製エンジン。
924の良さを生かして、さらにその性能を向上させるべく
エンジンは928用の5リッターエンジンの片バンクを
流用した2.5リッターエンジンを新たに開発。
924より上級であることをアピールする
924カレラーGTばりのブリスターフェンダーを
まとったような迫力あるボディー。
重量配分は、トランスミッションをリヤに置き
限りなく50:50に近いものでした。
このようにポルシェが精魂をこめて開発した
このミドル級スポーツカーは
当時世界最高のハンドリングといわれるほど
優れた操縦性を有する車でした。
2.5リッターの自然吸気でスタートした944は
のちにターボを装着し220馬力をひねり出した
944ターボ。そして250馬力までパワーアップした
ターボS
ツインカムエンジンを搭載した944S
そして4気筒ながら3リッターの排気量となった
944S2などさまざまなバリエーションが生み出され、
一時期は911の販売台数を上回り、
80年代経営に苦しむポルシェのの屋台骨を
支えるモデルとなったのでした。
その後968にも引き継がれたこの
4気筒FRポルシェは、当時としては
実に洗練された実用的で高性能なスポーツカーでしたが、
ポルシェは89年に964を投入して
RR+フラット6のポルシェを延命
することを決断します。
次第に4気筒ポルシェはまた
エントリーモデルとしての位置付けされるようになり
その後継たるボクスターも
4気筒ではなくフラット6をミドシップにつむ
一連のFRモデルとは似ても似つかない
車となり、4気筒ポルシェの
系譜は途絶えてしまうのでした。
世界の自動車メーカーは、
高性能を図るとともに、省資源、低公害という
課題の解決を意識した車作りを続けています。
スポーツメーカーのポルシェもこのような
課題を避けて通ることはできないと思います。
そういう意味では、4気筒の高効率な
低排気量エンジンをフロントに積んだ
小型で、軽量なスポーツカーという
選択肢もあるのではないでしょうか。
ワーゲン製の小型ターボエンジンを
フロントに積んだ新型924,944の
登場もあるのかもしれませんね。
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