スーパーカー列伝94 メルセデスベンツC111
こんにちは
完全か無か。Das Beste oder nichts
メルセデスベンツのスローガンです。
最近はドイツ語でなくて、英語で書かれること
が多くなって、ちょっとやさしくなった気もしますけど、
90年代の前半ぐらいまでは
ドイツ語のこの語感がぴったりの車作りを
続けていました。
そのメルセデスベンツ、どちらかといえば
安全かつ高品質なサルーンカーメーカーという感じですが、
この「完全か無か」の精神で車を開発しているのですから
その精神が「高性能」に向かえばこんなものができる
ということでしょうか。
C111は1960年代から1970年代にかけて
メルセデスベンツの技術のショールーム、
そして、新技術の開発のために作られた車
だったといえるでしょう。
おそらく、そのコンセプトは、
メルセデスベンツ300SLを現代によみがえらせる
というようなところであったのではと思います。
300SLは本シリーズでもご紹介いたしましたが
1950年代に未来から持ってきたような、
先進的スーパーカーでした。
300SLにも採用されていたガルウイングが
採用されたあたりも、そのことをあらわしていると
思います。
1969年に登場した初代C111は
エンジンはなんとロータリーでした。
ロータリーといえばマツダという
感じがしますけれども、実は
ヴァンケルエンジンと言われるように
もとものはドイツNSU社(現代はアウディに吸収)
の発明でありました。
当時ローターリーは波状磨耗という
耐久性に対する課題を抱えていて、
半ばだまし討ちに近い形で、
マツダにライセンス供与、
(どうせ解決できるわけないだろと思っていたらしい)
がマツダは脅威的な努力で
これを実用化したのですが、
NSUは解決できなくてクレームの嵐。
とうとう会社も潰れるという憂き目をみたのです。
そんなロータリーですから、
ドイツの意地にかけても、ロータリーを
採用したのかもしれませんね。
1969年のフランクフルトモーターショーに出品されたC111
当初3ローターで最高出力は280馬力と
いうもので、これをミッドにレイアウト。
ボディーはFRP製で軽量で、
最高速度は時速260キロというものでした。
さて、ここからが、「完全か無か」の面目躍如。
徹底的に性能アップを図っていきます。
1970年のジュネーブショーには、
なんと前代未聞の4ローター。
最高出力は350馬力と発表され
最高速度は300キロ。
0→100km/h加速は4.8秒というものです。
その後、オイルショックがあり、燃料を馬鹿食いする
ロータリーは断念されますが
メルセデスベンツはあきらめません。
今度はターボディーゼルを搭載した経済モデル
を発表。
1976年に登場したC111-IIDはボディーは2代目を
踏襲していましたが、エンジンは3リッター直列5気筒
ターボディーゼルエンジンを搭載。
最高出力はなんと190馬力とガソリン車並でした。
これにも飽き足らず
1978年には
C111-IIIが登場。
こちらはボディーに大幅な変更を加えられ、
4輪はカバーで覆われ
なんと、リヤには垂直尾翼のような安定板を
付け、Cd値は0.191(!)
エンジンは同じ直5ターボディーゼルで230馬力にパワーアップ
イタリアのノルドサーキットで322キロを記録します。
ディーゼルはもういいかと1979年には
C111-Ⅳが登場。
Ⅲでついていた垂直尾翼は2本に増え
4.8リッターにKKK製のターボを
くくりつけてなんと最高出力500馬力。
最高速は時速400キロに達しました。
10年近くにわたって研究開発が進められたC111は
完成度の高いショーモデルのできばえなどから
話題になり、幾度となく市販化のうわさ
(後半のほうはあまり市販化する気はなかったような
開発をしてますが)
が出ましたが、結局市販化はされませんでした。
しかし時代は流れて1990年代。
ポルシェ959あたりに刺激されたのか
メルセデスベンツはC111の発展版ともいうべき
C112を世に送り出します。
C111を現代によみがえらせたような
ショーモデル。ここにも
「完全か無か」の精神が生かされたのか
完成度が高く、市販化がアナウンスされていました。
しかし、結局、予約金まで集めたにもかかわらず、
市販化はされませんでした。
結局のところ
C111は完全ではなく
無であったということなのかもしれませんね
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