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スーパーカー列伝92 フェラーリ360モデナ

   

こんにちは

新世代のアルミフレームフェラーリ360モデナです。

 

フェラーリはV8モデルの設計について

348を出す際にひとつの決断をします。

 

鋼管スペースフレームの主構造を

あきらめることです。

 

そして通常の量産車に近い

セミモノコック構造をとったボディーに変えるのです

348では評判はいまいちでしたが、

その後継モデルであり、フェラーリの品質を

一気に高めたF355では評価されるように

なっていきます。

 

さて、この種のスポーツカーですが、

顧客が、スポーツの刺激だけではなく、

豪華な装備、高い居住性をも求めているのは

これまで申し上げてきたとおりです。

事実、モデナでは、コックピットの後ろに

ゴルフバックがおけるぐらいのラゲッジスペース

を確保。

メーカーでも、フェラーリブランドのゴルフ

バックを用意していたぐらいです。

 

顧客の要望通りの居住性を確保しながら、

ぼんやりと設計すれば、

フェラーリの名にふさわしくない

駄馬が生まれることは間違いありません。

 

ここでフェラーリは考えました。

 

顧客の要望を満足しながら、

フェラーリにふさわしい、新世代のボディーを

つくるにはどうしたらいいか

 

要するに、でかくなる車を

どうやって軽量化するかってことですね。

 

そこで登場するのがアメリカの大企業

アルコアです。

 

アルコアはアルミニウムカンパニーオブアメリカ

というベタなネーミングを冠した

アメリカの企業です。

 

フェラーリはここと合弁の工場を建設。

フェラーリ用のアルミフレームを製造

するのです。

 

成果は現れました

 

F355(全長・全幅・車高・ホイールベース 単位mm)

4250・1900・1170・2450

360モデナ

4477・1925・1215・2600

 

F355より一回りも大きくなった360モデナですが

なんと重量は

F355が1440KGに対しモデナは1430KG

と10キロ軽量化をしているのです。

 

加えてエンジンはストロークアップして

3500CCの355に対し3600CC

です。

出力は20馬力ほども増えついに400馬力に達しました。

これらの運動性の向上に対し、

ホイールベースを延長して、

加えてトランスミッションを縦置きに改めて

重心高さを下げるなど、安定性を高める努力をしています。

 

さて、360のスペックを見ていきますと

妙なことに気がつきます。

 

トレッド前 1669

トレッド後 1617

 

あら、前のほうがトレッドが広い。

ミドシップのスーパーカーといえば

リヤは太いタイヤを履いて

幅広のオーバーフェンダーというイメージですが

モデナは前のタイヤ幅のほうが広いのです。

 

一般的に前のトレッドを広げると

コーナーリング性能が上がり、

 

リヤのトレッドを広げると、

安定性指向になるといわれております。

 

いくらミドシップとはいえロードカーですので

 

F355時代ではやはり後輪側のトレッドが広く

安定志向となっていましたが

 

モデナはホイールベース延長、重心高の低下など

の安定性向上を、

前トレッドを広げて

回頭性を高める方向に振ってあるのでした。

 

物の本によれば

このあたりはマクラーレンF1の登場に

相当影響されたということのようです。

 

確かにマクラーレンF1は

ロングホイールベース

フロントトレッドが、

リヤのトレッドより大きいなど

モデナがお手本にしたのでは

と思しき点があります。

 

加えて、マクラーレンF1という

ネーミングが示すとおり、

公道を走るF1という意味が

こめられていたと思います。

 

事実、BMWのエンジンが搭載されるまでは

本田F1用V10の供給を望んで

いたといわれています。

 

後に登場するフェラーリのF50、そしてエンゾは

フェラーリF1を積んだロードーゴーイングカー

というコンセプトでしたが、

このコンセプトそのものが

マクラーレンF1からいただいてきたもの

という感じもしなくはありません。

 

フェラーリもF1のライバルの

ロードカー進出に危機感を持っていた

表れかもしれません。

 

さて話が脱線しました。

 

私モデナ、助手席に乗っけてもらったことがあります。

オーナーいわく

「そんな早くないですよ」とのこと

 

確かに、

私も40年物のポルシェ乗りの端くれ。

最高出力は倍でも、

車両重量で300キロ重い

3.6リッターのフェラーリ。

 

最高速度が290でも

加速はそんなでもないのでは

と思って乗せていただきましたが

 

まったくの別世界でありました。

公道でしたので、速度は

それなりに抑え目だったと思いますが。

乗っていてちょっと気持ち悪くなるような

加速でした。

 

かつてはマラネロの民芸品とまで

いわれていたフェラーリですが、

ここモデナにいたって、本当のスーパースポーツに

なったのだと思いました。

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 -スーパーカー列伝

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